第一章

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悔やんでも仕方がない。 過去は変わらない。 いや…過去は、どんな事があっても変えてはならない。 これは、この魔法世界『フェルトニカ』での最大の規律であり、この世界に暮らす生き物の掟だ。 この掟を破ったらこの世界にはいられない。 それほど大切なものだ。 せめてもの救いは、日が落ちている間だけ、元の姿に戻れることだ。元の姿も似たようなものだが、自分の姿が見えるだけましだな。 ……さて、この話はこのくらいにして飯にしよう。 今日は、食料を調達しなければいけない。 早めに行かないと、時間が無くなってしまう。 俺は朝食を食べ、着替える為に寝室に戻る。 寝室は正面に大きな窓がある。ベッドは、右側に壁に寄せておいてある。また、左側は窓の方に机があり、入り口の方がクローゼットだ。 どの家具も木でできている。装飾は殆どされていない為、いたってシンプル。だが、木の温もりがが感じられる為、結構気にいっている。 俺は、クローゼットを開け中から黒いシャツと黒のパンツを出し着替える。 着ていた服は特殊な物で、普通の服を着ると消えた。 まあ…消えると言っても、俺の収納魔法『ボックス』の中に入るだけだが… 着替え終わり玄関へ向かう。 外に向かう前にふと、玄関にある姿見で全身を見てみる。 ……やはり、手袋とローブは着けておこう。 服だけが浮かび動き回る。この光景はある意味ホラーだ。俺がもし鉢合わせたら軽くトラウマになるぞ。
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