第一章

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「ぎゃあああっ!」 突然、男の悲鳴があたりに響きわたった。 「ひゃはははははは!」 (な、なに…………!?) 悲鳴にかぶさるように聞こえた甲高い(かんだかい)笑い声に、千鶴は暗がりで目を見開く。 「おい、どうした!?」 「畜生、やりやがったな!」 浪士たちの声に混じって、刃を交える音がする。 千鶴は天水桶の箍(たが)に手をかけたまま、おそるおそる騒ぎの方を覗いてみた。 斬り殺されている浪士の近くで残るふたりが対峙(たいじ)しているのは、浅葱色の羽織をまとったふたりの男たちだった。
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