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(あ、あれは………!?)
ふたり目が倒れる。
浪士を倒した男の、べっとりと返り血のついた羽織から目を上にやって、千鶴はぎょっとなった。
夜目にも白い髪、そして爛々(らんらん)と光を放つ目は血のように赤い。
男の仲間も同じいでたちだった。
(夜叉、鬼………ば、化けもの………?)
彼らは千鶴の知っているどんなものとも違うようだった。
狂ったように笑いながら、たった今、小路に転がったばかりの浪士の体を何度も何度も執拗(しつよう)に刀で突き刺している。
その残忍さに千鶴は凍りついたように動けなくなった。
ひとり残った浪士がもうひとりの白い髪の男へと大刀を繰り出し、抜き胴で斬りつけた。
血飛沫(ちしぶき)が噴き上がる。が、斬られた男は、
「ひ、ひひひ………」
笑い声をあげながら浪士にじりっと近寄った。
普通なら立っていることもできないはずだが、大して苦痛を感じているようにも見えない。
「くそ、なんでしなねぇんだよ!」
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