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本編
父ちゃんが近くの川で釣りをしていて黄金に輝くウナギを見つけた。
持って帰ろうとした父ちゃんは素手で捕まえようとして左太ももを噛まれて大怪我をした。
「俺の代わりに黄金ウナギを捕まえてくれ。だが、くれぐれも気をつけるんだ。やつには牙がある!」
父ちゃんは病室で手をガッチリ握ってきてそう言った。
それは夏休みに入る1週間前のことだった。
「逃げていくウナギは、まるで黄金に輝く帯のようだった。とても美しかったぞ」と言っていた。
夏休みが始まったら、黄金ウナギを捕まえに行こうと決めていた。
水族館に売ったら、家が一軒建てられるほどのお金が貰えるらしい。
夏休みが始まると、すぐに父ちゃんの病室に行って、どこで黄金ウナギは捕れるか訊いた。
「あの川は迷路のように入り組んでいて、今はどこにいるかわからないんだ。それとな、素手では絶対に捕まえようとするんじゃないぞ」
父ちゃんは包帯をぐるぐる巻かれた自分の左太ももをちらりと見せた。
「いそうな場所を見つけたら、針と糸で仕掛けをしておくんだ。黄金ウナギが好みそうなエサをつけてな」
父ちゃんが教えてくれたことを胸に家に帰ると、さっそく黄金ウナギに関する情報を集めることにした。
まずは、家族のみんなに訊いて回ることにしよう。
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