密かな喜び

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ふう、と息を着いたら小夜子が私のほっぺたを人差し指でツンツンしてきた。 『やーんっ。潤、ご飯デートじゃんっ』 『え!ええ!そんなんじゃないよ…。前もバイトのみんなでたまにご飯行ったことあるし…』 『でも。今回は岸田くんと潤の2人きり、でしょ?』 『そうだけど…。あ、小夜子……本当にいいの?』 『あたし一回帰って用意しなきゃなんないのよね。だからいーのっ。せっかく向こうからデートに誘ってくれたんだし、楽しんでおいでよ。ね?』 『デ………デートなの?』 『デートでしょ』 『バイトの仲間だし、ご飯……だけだよ?』 『それをデートっていうの!』 『…………岸田くんも、そんなつもりだったりするのかな…………』 岸田くんと、2人きりで、ごはんデート……?? 岸田くんとこんなの初めてだから何だか、ちょっとドキドキ、する。 いや、たまに2人で帰ったりしてるし、そんなに変じゃないか。 小夜子が岸田くんとのこと、応援しまくるなのもあるけど、電車で帰った時に言われた俺に甘えろよって言葉が未だに耳に残る。 だからか、ちょっと意識してしまいそうになる。 岸田くんは確かにカッコイイし優しいし、女性客にも人気だったりする。 バイト帰りに、お客さんで来てた女の子が外で待ってて告白されたりしてた。
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