709人が本棚に入れています
本棚に追加
岸田くんの横顔は何だか照れくさそう………
『き、岸田くん………』
『す、少しだけ、力を緩めてほしい…………です…………』
『………ごめん。』
こほ、っと軽い咳をして少し力を抜いてくれた手。
『森下、なに、食いたい?』
『……和食、かな』
『ん。おっけ。じゃ居酒屋いこ。』
岸田くんは手を繋いでる以外は普通で、私がぎこちない感じ。
でも、嫌じゃない、と思う。
元々仲良し…………だから…………??。
何だか落ち着かなくて…………緊張しっぱなし。
選とは違う、手の温もり。
初めて知った、岸田くんの温もり。
緊張するドキドキ。
男の人と手を繋ぐドキドキ。
岸田くん、どうしちゃったんだろ。
私が変なこと言っちゃったからかな……
待ち合わせの駅からすぐの居酒屋。
岸田くんは友達とここに良く来るらしい。
『森下の好きな物、いっぱい食べていー よ。いきなり誘ったの俺だし奢る。ほら頼んで』
そんなのはダメ、と言わせてもらえず、岸田くんに言われるがまま、食べたいものを注文した。
料理が運ばれてきて、ちびちびお酒もはいりながら変な緊張感も解けて、いつものように岸田くんといろんな話で盛り上がった。
会話も落ち着いたころ、気になっていたことを聞いてみた。
『何で急にご飯に誘ってくれたの?なんか、なやみ事?』
調度、注文したお酒が運ばれてきて、岸田くんへと渡す。
『俺、森下に聞いてほしいことあるんだ』
グラスを受け取りながら、岸田くんが珍しく真剣な顔で話出した。
『うん、どうしたの?』
最初のコメントを投稿しよう!