密かな喜び

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岸田くんの横顔は何だか照れくさそう……… 『き、岸田くん………』 『す、少しだけ、力を緩めてほしい…………です…………』 『………ごめん。』 こほ、っと軽い咳をして少し力を抜いてくれた手。 『森下、なに、食いたい?』 『……和食、かな』 『ん。おっけ。じゃ居酒屋いこ。』 岸田くんは手を繋いでる以外は普通で、私がぎこちない感じ。 でも、嫌じゃない、と思う。 元々仲良し…………だから…………??。 何だか落ち着かなくて…………緊張しっぱなし。 選とは違う、手の温もり。 初めて知った、岸田くんの温もり。 緊張するドキドキ。 男の人と手を繋ぐドキドキ。 岸田くん、どうしちゃったんだろ。 私が変なこと言っちゃったからかな…… 待ち合わせの駅からすぐの居酒屋。 岸田くんは友達とここに良く来るらしい。 『森下の好きな物、いっぱい食べていー よ。いきなり誘ったの俺だし奢る。ほら頼んで』 そんなのはダメ、と言わせてもらえず、岸田くんに言われるがまま、食べたいものを注文した。 料理が運ばれてきて、ちびちびお酒もはいりながら変な緊張感も解けて、いつものように岸田くんといろんな話で盛り上がった。 会話も落ち着いたころ、気になっていたことを聞いてみた。 『何で急にご飯に誘ってくれたの?なんか、なやみ事?』 調度、注文したお酒が運ばれてきて、岸田くんへと渡す。 『俺、森下に聞いてほしいことあるんだ』 グラスを受け取りながら、岸田くんが珍しく真剣な顔で話出した。 『うん、どうしたの?』
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