最初は説明からだな

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黒の学ランを羽織り、シャツのボタンは全開。その上から意味を為していなく、加えてだらしなくネクタイを締めており、ズボンは左右違う長さに裾を捲っている。 そして。 右顔面を覆う、黒く無骨な眼帯に、頭上に鎮座する光り輝く金の王冠。左目の下には薄い隈が出来ているが整った顔立ち。 ―――――ああ。 服こそ多少は違えど、前世と何一つ変わらないその姿に目を細める。 俺の目の前で小首を傾げているこの少年は、正真正銘俺の知っている《喜多村皇紀》の生まれ変わりだ。 「…………」 俺は、無言で目を伏せた。 ―――――そう、ここにいるのは、俺が殺してしまった皇紀の生まれ変わりなのだ。 生温い風が吹く。肌に纏わり付き、じっとりと汗ばませるその風が気持ち悪くて、俺は身動ぎをした。 「じゃあ、僕はこれで……」 素っ気なく返事を返し、そそくさとその場から立ち去ろうとする。 購買に行き、パンを購入し、賑やかな教室の中、席に着き一人切りの昼食を済ます。普段なら僅かな寂寥を感じるその行為を、今は切望していた。 早く、ここから立ち去りたい。
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