嵐を呼ぶ山田

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「ゆーうーやー」 「…………」 『ゆーうーやー』 「…………」 「ゆーうーやー」 「……なんですか?」 「いや、今さら祐也が知らないふりしてもユウヤ……あー、分かりにくいな。ま、中の人が出てきちまった以上意味ねーよ」 軽い口調でいやに楽しげに喋るメフィスト。その隣を歩く祐也は、思わず頭を抱えそうになった。 ああああもうユウヤの馬鹿野郎!!全部水の泡ではないか!! 『ご、ごめん……いやー、ぼくもまさか表に出れるとは思わなかったよ。やっぱり、無理矢理表に出るくらいあの愚物を憎んでるんだねぼくは!再認識できてよかった!』 「よくない!!」 「ちょ、急にどうしたし」 「あ、いや……えっと、なんでもありません」 「強情だなあ」 敬語で返せば、メフィストは呆れたように、だがやはりどこか楽しげに笑った。 「ま、どうせ心中で中の人と喋ってたんだろ?」 「……ナンノコトデショウカ」 そういえば、メフィストって少しSっ気があったのだったな。
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