嵐を呼ぶ山田

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そうこうしている内に、いつの間にか校門へと到着した。 「…………」 「ん?祐也、どした?」 ピタリと足を止めた俺へ不思議そうな視線を向けてくるメフィスト。 メフィストが小首を傾げると、その綺麗な金髪がさらりと流れた。無邪気ともとれる仕草に、周囲を歩く女子生徒の視線が集まる。 やはり、この目立つ集団といるのはよくないだろうな……。 「あ、あの……僕、忘れ物をしてしまったので、先に行っててください」 「忘れ物?何をだよ?」 問われ、返答に詰まる。 「あ、その、えっと……きょ、教科書を」 「それなら俺が貸してやんよ」 「あ、あの、喜多村さんは同じクラスですし、時間割りも一緒なので……」 「それならば俺が―――――」 「俺が貸すのだーっ!!」 レヴィを遮り、ベルがにこやかに提案する。 …………八方塞がりとは、まさにこのような状況のことを言うのだろうな。
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