嵐を呼ぶ山田

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「……ん?」 不意に、俺の前を歩いていた皇紀が動きを止めた。そして、踵を返したかと思うと、皇紀は険しい表情でこっちに向かってきて――――― 「だぁぁぁぁかぁぁぁぁらぁ!!シリアスはやめろっつってんだろ!!」 「いったぁ!?」 バシンッ!と思いっきり頭を叩かれた。あまりの衝撃と痛みに思わず情けない悲鳴をあげる。 こいつ、調子に乗るな……!! 「……喜多村さん、痛いんですけど。というか、僕、なにもしてませんけど……」 胸中の文句を口に出すわけにはいかずに、俯いたままぼそぼそと抗議をする。くそ、テリアにいた頃なら思いっきりしばけたのに……! 「うっせぇ、俺のシリアスセンサーナメんな!」 「…………」 ビシッ!と犯人はお前だと言わんばかりに俺を指差す皇紀。 シリアスセンサーとか馬鹿なのか? 「宣言するぜ、俺の前でシリアスはのさばらせにゃい!うわ、噛んだとか最悪だ!」 あ、馬鹿か。
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