嵐を呼ぶ山田

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「ゆー君は普通じゃないわ。世界にとっても、皆にとっても……私に、とっても」 段々と語調をすぼませ、遂には俯きながらぽつりと言葉を漏らしたフィリア。 「…………」 一方俺はというと、そんなフィリアを前に頬を染め、押し黙っていた。 フィリアは、今、「私にとっても」と言った。つまり、それは……その、そういう意味でなのだろうか…………? くすぐったい期待が胸中で渦巻き、動悸を激しくする。 「ゆー君。その、ね……」 俯けていた顔を上げ、戸惑いがちに俺を見詰めてくるフィリア。緊張からかその瞳は潤み、頬は上気している。 くらり、と。香りたつような女の子らしさに目眩がする。 どうしよう。 顔が、熱い―――――。 俺はまっすぐにフィリアを見つめ返し、そして、 「だからラブコメもシリアスもやめやがれええええええええええええええええええええ!!!!」 横から割り込んできた皇紀にタックルされ、吹き飛んだ。
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