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「はえ?」
「あ……っ!」
咄嗟に腹を抑える。しかし、
ぐきゅぅう
俺の胃は、抑えても尚悲惨な悲鳴を上げ続けている。
かぁっ、と顔に熱が集まる。恐らく、今、俺の顔は真っ赤に染まっているだろう。
「…………」
驚いているのか、皇紀は無言で目を丸くしている。
情けなさのあまり、腹を抑えたままその場に踞る。長く伸ばしている髪が顔を完全に覆い隠し、顔を隠す為に掛けている眼鏡が膝に当たる。
もう嫌だ、消えてしまいたい。
ぎゅっと目を瞑る。不安定な体勢のまま、更に身体を縮こませた。
その時、
「……ぷっ」
不意に、俺の周囲の空気が揺れた。
空気の揺れと共に、俺の耳にくっくっ、と、どこかリズミカルな笑い声が聞こえてくる。
明るい声に釣られるようにして、恐る恐る顔を上げてみる。すると、そこには俺と同じように、しかし全く違う理由で腹を抑える皇紀がいた。
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