嵐を呼ぶ山田

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と、そこで、押し黙っていたレンが口を開く。 「皇紀……」 「んあ? なんだよ?」 「覚悟、出来てるよね」 そう言い放ったレンは、それはキレイな笑みを浮かべていた。 「なんで余計なことばっか言うのかな?かな?ねえ、なんで余計なことばっか言うのかな?お前それサバンナでも同じこと言えるの?ねえ馬鹿なの?馬鹿なんだよね?」 キレイな笑顔のまま皇紀ににじり寄るレンに、 「え、あっちょっと待て落ち着けまだ焦るような時間じゃないていうかレン君おまサバとかやめてくれもちつけこっちくんなああああああああああ!!!!」 それに恐れをなして逃げ出した皇紀。 二人は、俺を置き去りにして校舎へと駆け込んでいった。 「……あ」 行ってしまった……。とりあえず、俺もいいかげん教室に向かわないとな。 俺は少しだけ二人の背中を見つめると、すぐに視線を俯けて校舎に入っていった。
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