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「それがさぁー、なんか神の意思ってーの?ほら、よく夢を見るとさ、前にその夢に続く夢を見たよーな気になったりするじゃん?それみたいな感じでさ、オレ、その夢にオレが出演するものだと思って、ワクワク、してたんだよ……」
「き、喜多村さん……?」
唐突に勢いを無くした語尾に驚いて思わず声をかければ、皇紀は恨みがましい目でどこか遠くを睨み付けていた。
「それなのにさぁ……結局、オレの出番はなかったんだよ。一切なし、他のやつの台詞に名前が出てきたくらい。なんかすっげーテンション落ちたわ。しかも、傷口に塩塗るようなことさせられるしさぁ……はぁーあ」
床にしゃがみこんでぐちぐちと文句を呟く皇紀。
な、なんか色々と気になるのだが……正直、この状態の皇紀に話しかけたくない。一体どうすれば……
「傷口に塩ってなんだよ?」
め、メフィストおおおお!!そんなさらっと声かけて平気なのか!?さすがだ!!
考えあぐねていた俺に構わずさらりと先を促したメフィストに感服していれば、相変わらずローテンション継続中の皇紀がのろのろと口を開いた。
「いや、色々とあって明人くんにもらったんだよ……明人くんやさしーぜ?出番のなかったオレを元気付けようとしてくれたし……けっこうひどい対応もあった気がするけど、明人くんはいーやつだったよ……はぁー」
「いや、明人くんって誰だよ。まあいいや。皇紀は無視しよーぜ」
いい加減鬱陶しくなってきたのか、メフィストは皇紀をばっさりと切り捨てた。
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