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「く、ははっ!も、ダメだっ!はははははっ!!」
遂に、皇紀は大声で笑い出してしまった。目尻に涙まで浮かべている。
呆気にとられた俺の顔はさぞかし間抜けであろう。呆けた顔で、ただ皇紀を見詰める。
地球では初めて近距離で見る皇紀の笑顔は、やはり俺の知っているものだった。
屈託のなく、輝くような笑顔。見る者の心に温もりを与え、更にはどんどんと周囲に伝染していくかのようにすら思わせる輝き。
しかし―――――
「…………」
唇を強く噛む。すると乾燥していたのか、すぐに口内にじんわりと血の味が広がった。
―――――強すぎる光は闇を浮き彫りにする。
暗く、深く、罪に溢れた闇の輪郭をなぞり、存在を色濃く強調する。
そして、照らされた闇は、光に目を眩ませ縮こまるのだ。
呆け、胡乱となっていた視線を下へと向ける。皇紀の笑顔を直視するには、俺は汚れすぎた。
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