嵐を呼ぶ山田

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「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 最早泣き真似すらもせず、無駄に凛々しい表情で叫び続けている皇紀に気付かれないようこっそり冷たい視線を向けてから、俺は必死に頭を回転させ、思考を巡らせる。 ――そして、僅か数秒後。この状況を打破する可能性を秘める考えに至った。 「……もし」 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 「ん?」 メフィストに促され、自然と俯けていた顔を少しだけ上げる。 切られた前髪の下から、僅かに瞳が覗く。身長差もあり、俺は上目使いになる形でメフィストを見上げた。 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 「その……もしも、僕がそれでも呼べないって言ったら――」 「こうなるな」 「へぶしっ!?」 俺の眼前で、メフィストに容赦なく殴られた皇紀が奇声をあげた。 え…………皇紀ぃぃぃいい!!?
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