嵐を呼ぶ山田

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「ほら、試しに呼んでみてくれよ」 「……用もないのに、呼べませんよ」 「ふうん……」 メフィストは声を漏らし、俺を見る目をすがめると―― 「これでどうだ!」 不意に、俺の眼鏡を奪い取った。 視界をちらついていた黒い縁取りが消え、裸眼との僅かな焦点の違いに視線が揺れる。 現在、レンの思わぬ登場のせいで、普段使用している眼鏡は手元にない。 メフィストに奪われた眼鏡は、容姿上の「前世との違い」の、最後の砦だ。 「あっ!メフィストさん、返してください!」 「ふっふっふ……さん付け無しで呼んだら返してやるよ!」 おのれメフィストめ!その笑いかたとか、悪どい光を浮かべた瞳とか……完璧悪役だぞ!!?いいのか、それで!!!!
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