ドキ☆ドキ浮気調査!……かーらーのー?

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霞む視界が捉えたのは、どろりとした黒だった。 手足が、頭が、胴が、鉛になったかのようにずしりと重く、動かせない。 「ここは……?」 暗澹に包まれた呟きは響くこともなく、水泡のように呆気なく掻き消えてしまった。 「…………どこ」 自由を拘束する鎖を逃れた口で、目で、必死に抵抗する。 「メフィスト、ベル、レヴィ……神ぃ……!どこ、誰か……!」 他者を求めて放つ声が涙に濡れた、その時。 ごぼり、と音をたてて闇が動いた。 鎌首をもたげるようにして動いた、粘性のある黒が口を開き、体を――ぼくを、包む。 「誰か……っ!」 助けて。
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