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――あああ……もう、最悪だ……。
不機嫌な兎丸を前に、冷や汗を流して自己嫌悪に浸る。
叱られる。いや、そんなことはどうでもいい。もしかしたら、俺が平生とは違う原因のメフィストたちに目をつけられてしまうかもしれない……そうなったら、最悪だ。
俺には、メフィストたちに「平和」に暮らしてもらいたいから離れている、という理由もあるのに。本末転倒ではないか。
「おい、根暗」
「ひゃいっ!?」
兎丸の呼び掛けにびくりと肩を震わし――動揺に邪魔をされて上手く回らなかった舌に、羞恥が込み上げる。
あああ噛んだ!盛大に噛んだ!くそ、ひゃいってなんだ……!!たった二文字だろう、頑張れよ俺の滑舌!もっと熱くなれよ!熱い血燃やしてけよ!人間熱くなった時が本当の自分に出会えるんだ!!だからこそ!もっと熱くなれよおおおおおおおおおお違う、今は修造さんには出番を求めていない。
気にすんなよ!くよくよすんなよ!大丈夫、どうにかなるって!ドントウォーリー!ビーハッピー!と、俺の心の中で叫び続けるテニスプレイヤーは置いておくことにして、どうしよう。どうすれば……。
俺の思考が混乱の坩堝に陥った、その時。
「お前、パシり卒業な」
……え?
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