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「ほいよ」
俺の腕を掴んでいない方の手で、皇紀がパンの袋を渡してくる。
「……すみません、ありがとうございます」
脱出を諦めた俺は、差し出されたパンの袋を大人しく受け取った。
それを認めてから、漸く皇紀が俺の腕を解放した。
「座れよ」
「……お言葉に甘えて。失礼します」
場所を開ける為にずれた皇紀の横に腰を降ろす。
そして色々と状況は不味いが、しかし。漸く有り付く事が出来る昼食への期待を胸に抱き袋を開けた。
何も入っていなかった。
「喜多村さん!!?」
「ぷっぎゃあああああああああ!!!!」
バッ!と横を見れば、そこにはこちらを指差しながら爆笑する皇紀の姿が。
……落ち着け、落ち着くんだ俺!!殴ってはいけない、プロレス技を掛けてはいけない、柔道の技を仕掛けてはいけない、キレてはいけない、キレてはいけない、キレてはいけないッ!!!!
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