ドキ☆ドキ浮気調査!……かーらーのー?

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「もういいだろ」 「あ……待ってください」 くるりと踵を返しその場を離れようとした兎丸を、慌てて呼び止める。 「どうして急に僕を解放するのか、まだ理由を教えてもらってません」 「……放課後」 放課後? 溜め息混じりにぽつりと呟かれた単語に、首をかしげる。 兎丸は振り返り、心底鬱陶しげな表情で淡々と告げる。 「放課後、お前の家にいく。いいな」 「え、よくありません」 決定事項のように告げられた言葉を、俺はあっさりと否定した。 いや、だって今日の放課後はメフィストたちと話し合いがあるし。 「な……ざけんな、予定空けろよ」 「いや、急に言われても、大事な予定がありますし。すみません」 食い下がる兎丸に、眉尻を下げて謝る。 「……なら、いい。どうせ、今日の夜には分かることだ」 「今日の夜……?」 「じゃあな」 「あ……」 それだけ言うと、今度こそ兎丸は踵を返して去っていった。 ――今日の、夜。 その場に立ち尽くす俺の心には、兎丸の言葉がしこりのように残っていた。
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