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「ぷくく……ほら、こっちが本物」
小刻みに身体を震わせながら、ベンチの下に置いてある鞄からパンの袋を取り出す皇紀。
「……ありがとうございます」
低い声で礼を言いながら受け取る。
よし、今度はちゃんと入っているようだな。袋に重みがある。
抜かりなく重量の有無を確認してから、今度こそ昼食に有り付くべく袋を開けた。
またしてもパンは入っていなかった。
「やーい、二回も引っ掛かってやんの!!残念だったな、ぷっぎゃああああああああああああ!!!!」
「……っ!!」
一体なんだこのムカつく天丼は!!頑張るんだ俺、今こそ意思力を振り絞って我慢するんだ我慢するんだ我慢するんだ我慢するんだ我慢するんだキレてはいけないキレてはいけないキレてはいけないキレてはいけない―――――ッ!!!!
長い前髪で隠れた額に青筋を浮かべ、力みで震える程に拳を強く握って、必死に怒鳴り付けそうになるのを堪える。
ああ、目の前で先程とは比べ物にならない勢いで笑い転げている皇紀に拳を叩き込むことが出来たらどんなにいいのだろうか……殴りたい、切実に。
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