ドキ☆ドキ浮気調査!……かーらーのー?

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とりあえず、ユウヤは後々山に埋めに行くとして…… 「ぱぴぃ」 今は、こちらの問題を何とかしなければな。 「……レキ」 懐かしい名前は、聞いたことのない言葉のように不器用に鼓膜を揺らした。 『……変なこと言うね。如月祐也は、彼のことを知らないんでしょ』 無闇に冷たい言葉が、防壁もなにもない心の内側を抉る。刺を伴うそれは、柔らかな場所に深く突き刺さり、傷を付け――しかし、心に触れている箇所から不思議な脈動を伝える。小さな、けれどしっかりとした脈動はあたたかくて、 ああ、これは、恐らく……。 「ユウヤ、心配しなくても平気だから」 たしかに、この体は彼の名を聞いたことがない。この世に生を受けて十五年間、如月祐也に降り積もった時間は目の前の不安げな瞳をした少年を知らないが……俺の記憶が、心が叫んでいる。 知っている。 会いたかった。 幸せでいてくれれば、それでよかったのに。 抱き締めてやりたい。 いとしい。 「レキ……おいで」 たいせつな……俺の、家族。 「……あいたかった!」 広げた両手に飛び込んできた家族を、俺は、力いっぱい抱き締めた。
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