ドキ☆ドキ浮気調査!……かーらーのー?

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「ぱぴぃ、ぱぴぃっ」 「レキ、ごめんな」 震える背中や柔らかな髪をなぜて、必死に言葉を伝えようとするレキの邪魔にならないよう、出来るだけ優しく相槌を打つ。 「あのとき、ベッドでね、あたまふわふわしてて、ぱぴぃを、まってて……」 「うん」 「ぼくが、あのね……こんな、しあわせ、いいのかなって……思っちゃったの」 雪のように白い瞳が、闇夜のように黒い瞳が、相反する二つが対になり、同じように涙に濡れながら俺を射竦める。 「それでね、しらないひとが……ぱぴぃと、ぼくのおうちに……かなし、くて……」 ――ああ。幸せとはなんと酷で傲慢なものなのだろうか。ヒトをあたたかな沼に引きずり込み、蓮のように美しく浮かぶことも許さず、泥土に頭までとっぷりと浸からせてしまうのだから。 たとえ欠片ほどの否定だろうと一切容赦せずに、疑うものから容赦なく逃げてしまうのだから。 「でもね、ぱぴぃにあえたから、ぼくは、しあわせだったの……っ」 幸せすぎて、苦しくて、窒息しそうなほど胸が苦しくなっても、甘受しか許さないのだから。 「おほんっ!お二人さん、ここ、校門ですけど?」 「「あ」」
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