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「だから、ここ、校門なんですけど……イチャつくなよ」
「ずるい祐也のため口ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい祐也と話したいのにずるいずるいなにあいつずるい祐也なんでおれとは話してくれないのにずるいずるいずるいずるいずるい……」
「レン、落ち着くのだー……でも、たしかに、ずるいのだぁ……俺たちとは、まだ向き合ってくれてないのに」
――あ。
メフィスト、レン、ベルの囁き声が耳に入り、罪悪感が首をもたげた。連鎖して、レキとの再会の喜びに押し込められていた他の感情も浮上してくる。
みんなを拒んできた後悔、受け入れる不安、傷付ける未来への恐怖。
ユウヤの言葉とは違い、ひたすら冷たく鋭利なだけの感情が、心に突き刺さり温度を奪っていく。
「…………」
「ぱぴぃ?」
ざざざ、と波が引くように血の気が失われていくのが自分でもわかる。
レキを、また、傷付けたら。どうしよう。
そうだ、少し考えたらわかるじゃないか。今まで俺は、メフィストたちを傷付けないため、本当に幸せになってもらうため、必死になって受け入れないようにしてきたのに。
ここでレキを受け入れてしまったら、矛盾してしまう。関わりを持ってしまったら、もう――
「ぱぴぃ、ぼくは幸せだったよ」
ふわり、と。花が綻ぶように、生を受けて最上の幸せだと言うように、レキが笑った。
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