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「ぼくね、なんとなくわかってたんだ。ぱぴぃには、本当は会うはずじゃなかったって……ぼくは、ぱぴぃに会わないで、あそこで、死んでたんだって」
澄んだ湖面のように静かに語るレキは、飢餓に苛まれ、意地悪く脅すようにざわめく木々に囲まれて、恐ろしい獣に襲われて終える最期を覚悟していたと言う。
「でもね。ぱぴぃに出会って、運命が変わった」
凪いでいた表情に、喜色が広がる。
「美味しいごはん食べて、あったかいベッドで寝て、遊んで、笑って。ぱぴぃと過ごして、ぼくは幸せを知ったんだ」
ひどい顔をしているであろう俺に、俺が殺してしまった少年が笑いかける。
「だからね、ぱぴぃ。怖がらないで。出会うのは、運命が変わるのはやなことばっかじゃないんだよ」
……困ったな。
そんな、幸せそうに言われたら。
「……そうか」
拒むことなんて、もう、出来ないじゃないか。
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