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「…………」
ご丁寧にも、重さで気付かれないようにパンの身代わりとして入れられていた黒い布を手に取った。すると、黒い布ははらりと広がり、その正体を明らかにする。
それは、皇紀の右顔面を覆っている物と全く同じ眼帯だった。
「……っ!!」
予備を常備しているのか!?というか、その厨二眼帯は一点物ではなく量産品だったのか!?
叫び、ツッコミを入れそうになるのを何とか堪える。
流石皇紀だ、手強い……っ!
自分でも意味の分からない痛感をしながら、未だに笑い声を上げている皇紀へとちらりと視線を向ける。
「……っ!!」
最早声も出ない程笑い転げ、悶えている皇紀。
俺の視線に気付いた皇紀は、再度鞄から何かを取り出した。
見れば、それはラップに包まれた焼きそばパンだった。
「こ……これ、食って……良い、ぞ……っ!」
笑いを堪え、ぷるぷると震える手で差し出された焼きそばパンをおずおずと受け取る。
本当に食べてもいいのだろうか……?
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