ドキ☆ドキ浮気調査!……かーらーのー?

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がつん、と。後頭部を鈍器で殴られたかのような衝撃が襲った。 ……そうだ。俺は、本当ならこの世界……いや。 この時代には、存在しない存在なのだ。 朔夜のとばっちりで異世界テリアに召喚され、「本来の流れなら」魔族との戦争に勝利した暁には元の世界――地球に戻るか、そのままテリアに永住するはずだった。 父さんも母さんも、そして恐らく朔夜もいない、静かな道場を独りで切り盛りするのは、この世界でレンやメフィストたち……家族に恵まれた俺にとってはなんともぞっとしない未来だ。きっと、そのままテリアに永住することになっただろう。 しかし。 もし、地球に戻ることを選択していたら。少なくとも俺は、今存在している時間軸とは数十年ほどずれた世界に生きていただろう。 地球と平行した時間軸に存在する異世界テリアで死に、輪廻転生の輪に正常に加わり、数年から数十年の準備期間とも言えるタイムロスを経て、再び地球に生まれ落ちた俺は、本来ならこの時代には、生きているはずがないのだ。 そう、普通に考えるのなら。 今まで信じてきた運命とやらを辿るのなら。 俺は、テリアに戻った方がいいのだろう――
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