ドキ☆ドキ浮気調査!……かーらーのー?

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「祐也」 「……っ」 メフィストの静かな声に、ぴくりと肩が跳ねた。 俯いた俺を端から見れば、きっと、叱られる子供のような情けない顔をしているだろう。 レンたちとまたいっしょに生きていける――そんな都合の良いことを想像しておきながら、俺は、今の家族――如月家の人々と離れることを想定していなかった。 テリアで待っているだろう友、ヴェンたちのことを思うと疼痛が胸を苛む。心配かけてしまっているだろうか。悲しませてしまっているだろうか……まだ、友だと思ってくれているだろうか。 目の前で真剣な表情を見せる仲間たちを視界に納めれば、罪悪感と安堵の不思議なブレンドが胸中を満たす。彼らの傍が、俺のいるべき場所なんだと。俺の生きていく場所なんだと、心の底から思える。 そして、現在の如月家で育まれた思い出を遡ると―― 「……そうか」 俺の胸を満たすのは、とぷりとした水のように心の隅々まで潤す、生命の源のような安らぎだった。
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