ドキ☆ドキ浮気調査!……かーらーのー?

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「俺は、家族と言うものを理解していなかった」 如月家は、どこまでも青い空に大きく枝を伸ばす宿り木のように、安息と、次に羽ばたくための力をくれた。 「テリアに行く前も……行ってからも、俺は、「家族の理想」をなぞっていただけなんだ。それが、嘘だったとは言わない。レンを、家族を想う気持ちは本物だし、誰にも負けないって胸を張って誇れる」 けれど。 「俺には家族がいなかったから。どうしても、根幹となる「実体験」――生命があるものの芯となる、親から受け継いでいくものが、空っぽだった」 朔夜に呆気なく負け、道場の床に倒れた俺を見つめた、あの父さんの眼差しに宿っていた真意は掴めないまま。 母さんは、物心がつく前に他界していた。 如月祐也という人間の輪郭を作ってくれた人達は、大切なものを吹き込む前に逝ってしまった―― 「そんな、空っぽだった根幹を満たしてくれたのが、今の家族なんだ」
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