14383人が本棚に入れています
本棚に追加
躊躇ったが、しかし。息も絶え絶えなその姿を見ていると、何だか、必死に肩肘を張っているのが馬鹿らしくなってくる。
―――――まぁ、一緒に昼食を食べるくらいなら、平気だろう。
己の罪悪感に妥協した俺は、小さく笑みを浮かべて焼きそばパンを頬張ろうとした―――――その瞬間。
キーンコーンカーンコーン―――――
大音量で学校中に鳴り響いた、微かにひび割れた機械のチャイム音。
「あ、ヤベ!昼休み終わっちまう!!」
笑い転げていた皇紀が勢いよく立ち上がり、急いで身支度を整え出す。
俺は、焼きそばパンを口に加える寸前の格好のまま固まっていた。
今のは、本鈴の五分前に鳴る予鈴。中庭から俺の教室まで移動するには、約五分程時間が掛かる。
授業までに焼きそばパンを食べ終える可能性は―――――
「……うぅ」
小さく呻き、俺は口元まで運んでいた焼きそばパンを降ろした。恨みがましく、鞄にパンの袋と予備の眼帯を詰め込む皇紀を睨む。
結局。俺は、空っぽの胃のまま授業を受ける羽目になったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!