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「んで?結局のところどうなのよ。優柔不断な男ってやーねぇーほんt」
「結論を話すタイミングでお前が邪魔したんだろう!?」
「人の話は遮らずに最後まで聞きなさい!お母さん、そんなせっかちな子に育てた覚えないわよ!!」
「育てられた覚えはないのに話を遮られた覚えはある!!このっ、理不尽!!」
「で、どうなのよ」
真剣な顔をした皇紀は、真っ直ぐに俺を見詰めながら、ほじり取った鼻くそを指先で弾こうとする。
「テリアに、帰ろうと思う」
俺は、みんなを見渡して告げた。その際、皇紀が弾き飛ばした鼻くそを、インド洋のど真ん中に転移させるのを忘れない。
「ゆうやっ!帰ってきてくれるんだぁ!!」
先程まで、まるで闇落ち三秒前のような顔をしていたレンが一転、目を輝かして満面の笑みを浮かべた。
「帰ったら一緒に買い物に行ってー、ギルドの依頼も、面白いのがあったら行ってー、いっしょにご飯食べて、あっ!おれ、自分でご飯作れるようになったんだよ!祐也が忙しいときはおれが作るから、いっしょに食べてねっ!それでね、それでねっ」
テリアでの予定を話し始めるレンに微笑み返して、しかし。すぐさま表情を引き締めて、再びみんなに視線を巡らせる。
一人一人、しっかりと目を合わせて、
「だが、すぐに帰るというわけにはいかないだろう」
だからレン、世界の終わり(歌手ではない)のような顔をするなと何度言えば。
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