よいこのHow to 如月家☆

3/67
前へ
/276ページ
次へ
* 「如月家直系、如月祐也様。本日はお忙しい中ご足労頂き誠にありがとうございます」  髪を結い上げた妙齢の美女が、にこりと上品な笑みを浮かべて頭を下げる。みどりの黒髪に映える真っ赤な硝子玉と紐飾りの着いた簪が、しゃらりと涼を感じさせる音をたてた。 「あ、ああ……」 「合議は午前二時に始まります。それまでごゆるりとおくつろぎください。何かありましたら使用人にお申し付けください。それでは、失礼いたします」  これまたきれいに一礼した女性に慌てて頭を下げ返しながら、俺は追い付いていない状況把握に努める。  まず、ここは都心を少し外れた場所にある、睦月家本家。  俺は如月家が加盟しているとある組合の合議に参加するためにここを訪れた――らしい。 『ところでゆーちゃん、お手紙来てたわよ?』  あの後、俺の話を聞いて諸々をすんなり納得したらしい姉さんが一通の手紙を差し出してきた。差出人も、消印すらもない手紙をおそるおそる開けてみれば、そこには合議の招待が記載されていたのだ。
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14383人が本棚に入れています
本棚に追加