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俺は、その声を聞いてまたしても溜め息を吐く。
「ダメなものはダメだ。俺は、もう誰も傷つけたくない」
キッパリと否定する俺の言葉には、強い意志が秘められていた。
『でも……』
「でも、ではない」
それでも尚食い下がる話し相手に呆れる。
俺は、何と無く己の胸に手を当てた。そして、
「……それに、『でも』や『だって』は使うな、と神に言われていたろう?なぁ……ユウヤ」
『むぅ……』
名前を呼べば、話し相手―――――ユウヤは、不服そうな声を上げた。
そう、今現在俺とユウヤは《共存》しているのだ。
しかし、共存とは言っても意図的に譲るか、もしくは余程の事がない限り身体の所有権は俺が握っている。
この事に関しては推測の域を出ないのだが、恐らく前世で死亡した時点で俺が身体の所有権を握っていたので、世界に《そういう存在》と認識されたのではないかと思う。
まぁ、そうであっても、そうでなかろうと、とにかく今は俺が身体の所有権を握り、ユウヤが精神的な居候という状態で落ち着いている。
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