よいこのHow to 如月家☆

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「父さんの従者と言ったな? いつからだ」 「もう二年ほど前から」  驕るでもなく淡々と答える兎丸に、片眉をつり上げる。 「十三、四の頃からか……随分若いな?」 「なんだよその言い方、まるで自分が若くないみてぇじゃねえか」  兎丸がふんと小馬鹿にするように鼻を鳴らす。  わ、わわわ若くないとか言うな! 確かに、前世を含めれば精神的にはもう三十年ほど生きてることになるが、身体的には十五だし、思考能力も年相応のはずだぞ!?  赤ん坊の時には自意識なんてあってないようなものだったし、もちろん自意識ライジングなんてしていなかった。幼い頃は記憶はあったものの「おかあしゃん、おかあしゃん。なんでみんな、まほうちゅかわないの?」「あらあら、祐也は魔法が使えるのね。すごいわね」とか「おかあしゃん、ゆうやがうるさいんだよ!」「あらあら、祐也はあなたでしょう?」なんて会話をしてたのだからな!?  俺は!!  若い!!!!! 「……お、おい。顔、怖ぇえぞ」 「……はっ!」  我に返ると兎丸がどん引きしていた。  今、一抹の不安を感じたでしょ? それ、間違ってないから……あっ、間違えた! これは違うやつだ! 「すまない、気にしないでくれ」  一抹の不安――ではなく、一抹の虚しさを感じつつ謝っておく。
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