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兎丸は、きょとんと目を丸くして俺を見詰めた。普段の陰険そうな表情とは違って純粋な幼さが見てとれ、何故だかこちらの居心地が悪くなる。
「……お前、それ、マジで言ってンのか?」
「ああ。先程も言ったように、俺は父さんが裏で何をしているのか全くと言っていい程に聞かされていない。出来ればそこの説明だけでも――」
「お話し中失礼致します」
凛とした声が控えめに、しかし抗いがたい雰囲気を帯びて話を遮った。
「間もなく合議が始まります」
移動を促す声に慌てて時計を確認すれば、確かに、二時まであと五分を切ったというところだ。
「ご案内致します」
「…………」
ちらりと兎丸に視線を向ければ、同じく目線で大人しくついていけと促される。
どうやら、予習は完璧とは言えない状態で合議を乗り切るしかないらしい。
『祐也、ぱにゃにゃんだーだよ』
そうだな、ぱにゃにゃん。
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