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しゃなりしゃなり、という擬音が似合う女性に通された部屋は、なるほど「合議」の名に相応しく、広々とした立派な和室だった。
『やばいねこれ、襖とか障子の絵柄が金だよ。いくらかけてるんだろうね』
部屋の輪郭を担うそれらは、四季ごとに新調しているのだろう。初夏の今は金魚と波紋が描かれている。
「こちらに」
女性に促されるまま上座のすぐ脇に敷かれた座布団に座る。兎丸も俺の隣に、慎ましやかに腰を落ち着ける。
……あの、ろくに事情も把握していない上に完全アウェーの状況でこの位置は……精神的に厳しいのですが……
『魔王のくせに情けないよ?』
うるさい、魔王にも出来ないことはあるだろう!
座布団の座り心地の良さやら己の待遇の不釣り合いさに戦慄しつつ、内心兢々としていると、
「皆様、お揃いでしょうか」
参加者の案内を終えた女性が切り出した。
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