よいこのHow to 如月家☆

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「いやあ、夢尽さんが余所行きの顔してんから何事かと思ったわ!」 「如月の小僧を驚かすために厳粛な雰囲気を装え、なんて意地が悪いんじゃないか?」 「あらあら、長月さんも乗り気だったでしょ? 私一人のせいにしないでくださいな」 「おいおいアンタら、如月くんがついてこれてないじゃん。ほら、一旦落ち着けって……夢尽さんも! 一升瓶抱えるな!」 兎丸を挟んで二つ隣に座っている――よく見ると、まだ二十代の半ばであろう、この中では俺を除けば一番若い男がぱんぱんと手を叩いて収拾を付けようとしている。 しかし、 「まあまあ皐月くん、飲みなさいって」 「や、だから俺は下戸だってい゛ッ!?」 よほど酒は苦手なのだろう、盛大に顔をしかめて拒絶していた男――皐月さんだったが、その口に、夢尽さんは手にしていた一升瓶を容赦なく突っ込んだ。 「ふふ。私のお酒が飲めないなんて、言わないわよねぇ~?」 「――――ッ! はあ、はあ……ふえぇ、おさけ、のみたくないって、いったのにぃー……!」 あ、潰れた。 「はいはいごめんね、皐月くん。お酒飲まなくていいからこっちおいでー?」 「おっ、皐月はもう潰れたのか? うるさいのがいなくなって酒飲み放題だな」 「とか言いつつ心配してるくせに。皐月、おいで。お水あるよ?」 「べっべべべべつに心配なんてしてねえよ!! ……チッ! おい、皐月。その腹黒爽やかなんかの近くにいたらあぶねぇぞ、こっちこい」 「みんなあぶないよお。皐月、ボクのところにおいで?」 突如として目の前で始まった皐月さんの取り合いに、俺の思考回路はショート寸前。 『今すぐーあいたいーよー』 やめろユウヤ! J○Sが来るだろう! 『それよりねえ祐也、この人たちキャラ濃すぎない? なに、皐月さん総受け? 総愛されなの?』 やめろユウヤ! 腐っているのはフィリアとドルナドだけで充分だ!
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