よいこのHow to 如月家☆

19/67
前へ
/276ページ
次へ
「ふふ、如月さんはお酒は飲めるクチ?」 困惑している俺に、夢尽さんが微笑みながら――一升瓶を片手ににじり寄ってくる。 潰される……!! 「申し訳ありませんが、その、俺は未成年ですので……」 「あら、そうだったわ。流石に未成年に飲ませちゃいけないわよねえ」 年齢をたてに断ればあっさりと解放されて、ほっと胸を撫で下ろした。 某死んだら世界をやり直す少女は、精神的にはオーケーだからと襖のなかに隠したワインを水で薄めて飲んでいたが、俺は精神年齢ではなく体年齢を優先したいので、酒は嗜まない。普通にジュースを美味しく感じる年だしな、あえて飲む必要はないだろう。 「あの……いつも、こんな感じなんですか?」 「そうねえ、いつもこんな感じね。勿論お酒を飲みながらもちゃんと近況報告はしてるわよ?」 「それ、酒の肴にしてるだけじゃ……」 恐る恐る訊けば、夢尽さんは相変わらず赤く艶やかな唇で、しかし、さっきまでとは全く違う形で笑う。 白くきれいな歯列が覗く、快活な笑みだ。 「あはは、そうとも言うわねえ! お姉さん、如月くん気に入っちゃったわ。これからもお父さんの代わりに来たらどうかしら?」 「そう言っていただけるのは嬉しいのですが、その、俺は皆さんのこともあまり知らないですし……」 何より、この合議(飲み会)が何の情報をやり取りするために行われているのかすらも知らないから、な。
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14383人が本棚に入れています
本棚に追加