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自転車通学するには短く、しかし、徒歩で通うには少々長い道程を歩き終えた俺は、巨大な和造りの門の前に立っていた。
和造りとは言っても文明の進化はしっかりと取り入れており、取り付けられたインターホンの脇に設置された認証機に手を翳せば、扉は自動でゆっくりと開いた。
敷居を跨いで、玄関までの小路を辿る。そして、今時珍しいやり戸を開けた、瞬間。
「ゆーちゃーん!!おかえりぃ―――――ッ!!!!」
爆音のごとき叫声が俺の鼓膜を揺らした。
「わぷっ!」
同時に、身体の前面に強い衝撃。気付いたら俺はとある人物に力強く抱き締められていた。
「おかえり、おかえりゆーちゃん!!」
弾むような声で繰り返し、上機嫌に俺の頭を撫でる―――――姉さん。
「姉さん、苦しいぞ……」
あまりにも強い抱擁と、気恥ずかしさから弱々しい声を出す。すると、そんな俺に気づいた姉さんはパッと身体を離した。
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