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「……さぁて、ゆーちゃん!ご飯作ろ!」
頬を赤く染めた門下生達が廊下の角に姿を消したのを見届けると、姉さんは花が咲いたように華やかな笑みを浮かべた。
「……姉さん、人見知りはよくないぞ?」
先程の門下生達へと態度と比較し、苦笑を浮かべる。
すると、姉さんは子供のようにぷうっ、と頬を膨らませた。
「いーもん、私にはゆーちゃんと父さんがいればいーんだもん」
「まったく、姉さんは……」
拗ねたように呟くその姿を見て、俺は苦笑に混じる呆れを色濃くした。
姉さんが生み出すヘドロを俺が料理に昇華し、そして二人でそれを食べ終えた、現在。
「…………」
俺は、絶句していた。
場所は六畳という、広くも狭くもない俺の自室。
素足に心地好い藺草の感触を感じながら、何をするでなくただただ立ち竦む。
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