14383人が本棚に入れています
本棚に追加
『……祐也?』
そんな俺を不審に思ったのか、ユウヤが問い掛けてきた。
しかし、今の俺にその質問に応える余裕はない。
「……何故」
震える声で、宛のない疑問を放つ。
乾燥した唇を舐め、一度大きく深呼吸をすれば、震えは幾分か落ち着いた。
俺は、鋭い眼差しで目の前の惨状を睨め付ける。そして、
「何故、俺の携帯ゲーム機が粉々にされている!?」
力一杯、叫んだ。その視線の先には見るも無惨な姿となったPSPによく似た、しかし性能はかなり上がっている今の時代のゲーム機がある。
「うぅ、やっとエンディングが見えてきたところだったのに……」
時間を掛けて進めていたゲームに、まるで走馬灯の様に思いを馳せる。もう少し、もう少しでクリアだったのだが……はぁ。
嘆いていても、仕方がない。
俺はどんよりとした重い空気を纏って、破壊されたゲームの破片を拾い集める。
最初のコメントを投稿しよう!