エンディング

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「……でさー、昨日の」 「……ちょ、待てよ!」 人々のざわめき。生活の雑音がする。 温かく、平穏な世界。そして――――― 「おいこら、焼きそばパン買ってこいよ」 「ダッシュでな!あと、支払いは勿論お前だかんな!」 ―――――目の前で、ニタニタと嫌な笑みを浮かべる少年達。 ……時は現在。俺は、人間として生きていて、更には俗に言うイジメを受けている。 「……どうしてこうなった!?」 俺は、頭を抱えて叫んだ。 突然の奇行に白い目を向けられる 「うるせぇよ。いいから買ってこいや」 「あ……はい、分かりました」 ―――――調子に乗るな!! 辛辣な言葉に内心憤りながらも、俺は大人しく購買への道を辿る。 「ダッシュ!!」 「はい!」 後背から嗤いを含んだ声で怒鳴られ、慌てて走り出す。 顔に当たる空気も、風で靡く髪も、呼吸をする肺も全て本物で。 俺が平穏な世界にいるということを、強く実感させる。 閉じられかけていた幕が抉じ開けられた事を、俺はまだ知らない。
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