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しかし、布団を跳ね退けても、じめじめとした空気は身体に纏わりついてくる。
俺は、しっとりと汗に濡れた眉間に皺を寄せた。
電気代が掛かるので、このくらいの暑さでエアコンを作動させるわけにはいかない。
だが、暑い。このくらいの、と言ったが、エアコン無しではキツい。
―――――仕方ないか。少しくらいなら……。
数秒の逡巡の後、再度妥協する。
その刹那。パチンと乾いた音が夜気に弾けた。
途端にひんやりとした冷気が室内を満たしていく。
そう、まるで魔法のように。
「んぅ……」
何とか寝苦しくない程度に下がった室温の中、俺は身体を丸めた。引いていく汗に反比例して、急速に眠気が頭を支配していく。
―――――何故……
そして、数分後。すっかり夢現の頭が、思考を勝手に垂れ流しだす。
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