嵐を呼ぶ山田

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転校生―――――どう見ても俺の元知り合いのメフィストとフィリアの二人は、モデルのような容姿を地味な学ランとセーラー服で包み、いたずらっ子の様な笑みを浮かべてクラスメートに挨拶をしている。 「メフィスト君だって!カッコよくない!?」 「フィリアちゃん人形みたい……ああ、まさぐりたい」 「変人イケメンとちょっと怖い兎丸君しかいなかったけど……このクラス当たりじゃん!」 名前からしてハーフなのだろうか、俺の記憶と変わらず異国情緒溢れる美男美女に、教室は主にミーハーな女子の歓声で埋め尽くされた。 「……ん?なんでミドルネームが一緒なんだよ?」 その中に混じった、普段と同じテンションの男の声。その声は女子の高い声に紛れることなく、壇上の二人に届いたようだ。 「ん?」 メフィストとフィリアの視線が、疑問を発した少年―――――皇紀へと突き刺さる。 三人の視線、そして密かに俺の視線が各々に向く。 「…………」 俺は、俯き長い髪と眼鏡で顔を隠しながらこっそりと息を詰めた。
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