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皇紀の事を、二人は覚えているのか?
二人の事を、皇紀は覚えているのか?
二人が口を開くまでの数瞬が、まるで永遠に続くかのような錯覚に囚われる。
しかし、無情にも時は流れるものだ。
ついに、ゆっくりとメフィストの薄く形の良い唇が開いた。ニヤリと笑みの形になる。そして―――――
「よっす皇紀!久しぶりだな?」
片手を上げて軽い笑みを浮かべ、メフィストはあまりにも自然に挨拶をした。そう、まるで旧知の知り合いに対してするかのように軽い、軽すぎる挨拶を。
「……な」
驚愕のせいで、微かに開いた唇からほとんどが吐息の様な掠れた声が漏れた。メフィストは、皇紀の事を覚えている?ということは、フィリアも?
疑惑からフィリアを凝視すれば、その整った可愛らしい顔には微笑が浮かべられていた。
可愛い……はっ!そうではなくて!!
不審に思われない程度に緩く頭を振って、色気付いた思考を必死に振り払う。これもすべてフィリアが可愛いのがいけないのだ……っ!!
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