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振り払う傍から意識を侵食していく色付いた思考にどうしようもなく呆れながらも、俺は気持ちを切り替えるために若干赤くなった顔をフィリアから逸らした。
そして、視線の向かった先は皇紀。
「……?」
皇紀は、きょとんとした顔をしていた。覚えていないのか?
それを見て、俺は微かな残念と大きな安堵から、詰めていた息を小さく吐いた。
「……ふぅ」
よかったような、残念なような……。
と、そこで己の甘えに気付き眉間に皺を寄せる。残念とはなんだ。皇紀は、二人の事を……俺の事を覚えていない。とにかくよかったではないか。
半ば無理矢理に落胆を胸中から閉め出し、安堵から深く息を吐く。俺は結露で机を濡らし続けているイチゴみるくを手に取る。そして、ストローに口を付けて―――――、
「なんでメフィストは縮んでんだ?あれ、テリアじゃあもうちょい年齢上じゃなかったか?」
「げほっ!!げほっ、げほごほげほぉっ!!!!」
噎せた。
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