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「で、出会い頭に他人の髪の毛を切るのは……ちょっと、ないと思いますよ」
気が弱そうにおどおどと喋りつつ、背が伸びることを期待して買った大きめのサイズの学ランを脱いで、シャツをパタパタと動かして入り込んだ髪の毛を落としていく。床の髪の毛は昼休みもしくは小休憩にでも掃除すればいいだろう。
「……え」
そんな俺を見て、メフィストはポカンとしている。
この機を逃さずに、俺は更に畳み掛ける。
「えっと、たしか、転校生さんの名前はメフィスト・山田・セブンスさんでしたよね?一年もないですが、これからクラスメートとしてよろしくお願いしますね、セブンスさん」
ぺこりと頭を下げて、軽く微笑めば完璧だ。
俺は、頭を下げたせいでずれた眼鏡を直しつつ、椅子へと座る。
そう、これでいいんだ。これで―――――
「うぎゃああ!?」
俺は間抜けな叫びを上げた。
予想していた椅子の感触がなく、代わりに一瞬の浮遊感と、落下する視界。そして、臀部に鈍い痛みがあったのだ。
咄嗟に後ろ手を着いて体勢を整える。が、身体が大きく揺れたので、反動で眼鏡が落ちてしまった。
俺の眼鏡がぁ―――――ッ!!眼鏡カムバァァァァァック!!
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