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床の継ぎ目を視線で辿りながら、必死に短く―――――前世と同じになっているであろう前髪で顔を隠す。
俺には、メフィストの言葉に応える資格など―――――
「おい、こっちを見ろよ」
頑なに視線を合わそうとしない俺に焦れたのか、メフィストに強く肩を掴まれる。
「祐也!逃げるな!!」
「……っ!!」
掴まれた肩が熱くて、身を捩り逃れようとする。
俺は、逃げてなどいない―――――ッ!!
強く目を瞑り、呼吸を止めて心中で叫んだ。
次の瞬間。
「きゃあああああ!!メフィストさん×ゆー君!!美形攻め×可愛い系平凡受け!!最高ね、グッジョブメフィストさん!!」
突如として響いた歓呼の声に、ガクリと力が抜けた。後ろ手に着いて体を支えていた腕が折れ、メフィストから逃れるように床へ倒れる。
「フィリア!今シリアス!!メチャクチャシリアスな雰囲気だったじゃねーか!!」
「今の体勢もスッゴクいいわ!!倒れて見上げてるゆー君萌えぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!!!」
「聞いてない……だと!?」
メフィストが噛み付くようにしてフィリアに文句を言うが、萌えフィルター……いや、腐ィルターが掛かっているフィリアには聞こえていないようだ。
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