嵐を呼ぶ山田

13/106
前へ
/276ページ
次へ
床の継ぎ目を視線で辿りながら、必死に短く―――――前世と同じになっているであろう前髪で顔を隠す。 俺には、メフィストの言葉に応える資格など――――― 「おい、こっちを見ろよ」 頑なに視線を合わそうとしない俺に焦れたのか、メフィストに強く肩を掴まれる。 「祐也!逃げるな!!」 「……っ!!」 掴まれた肩が熱くて、身を捩り逃れようとする。 俺は、逃げてなどいない―――――ッ!! 強く目を瞑り、呼吸を止めて心中で叫んだ。 次の瞬間。 「きゃあああああ!!メフィストさん×ゆー君!!美形攻め×可愛い系平凡受け!!最高ね、グッジョブメフィストさん!!」 突如として響いた歓呼の声に、ガクリと力が抜けた。後ろ手に着いて体を支えていた腕が折れ、メフィストから逃れるように床へ倒れる。 「フィリア!今シリアス!!メチャクチャシリアスな雰囲気だったじゃねーか!!」 「今の体勢もスッゴクいいわ!!倒れて見上げてるゆー君萌えぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!!!」 「聞いてない……だと!?」 メフィストが噛み付くようにしてフィリアに文句を言うが、萌えフィルター……いや、腐ィルターが掛かっているフィリアには聞こえていないようだ。
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14383人が本棚に入れています
本棚に追加