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「……はぁ」
ざわざわと騒がしい購買の前で、俺、如月祐也は溜め息を吐いた。
「ちょっと、早くしてちょうだいよ!」
購買で働いている、気が強く、(性格、体格共に)どっしりとしたおばちゃんに睨まれる。
このおばちゃんはイケメンには愛嬌がいいがその他フツメン、ブサメンにはこのような態度で接客をすることで有名だ。
「あ、すみません!え、えっと……焼きそばパン二つとスペシャルタワーチョココロネを一つください」
「はいよ、三百九十円ね」
慌てて注文すれば、おばちゃんは手慣れた動作でパンを袋に入れる。俺は、その間に財布から小銭を出してお金受けに置いておく。
「あいよ」
「ありがとうございます」
ぶっきらぼうに差し出された袋を受けとり、おばちゃんがお金を受領するのを確認してから、その場を後にする。
「あら、いらっしゃい!!もぉ、今日もイケメンねー!おばちゃんサービスしちゃうわっ!」
「あんがとーございまっす!いやー、お姉さんもお美しいっすよね!」
「あらあら、コウちゃんったら嬉しいこと言ってくれるわねぇ!うふふ、メロンパンもあげちゃうわ!」
そんな、秋波を送るおばちゃんの甲高い声を背中で聞きながら。
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